あいさつ
浦幌町は十勝東部に位置し、総面積729.75㎢のうち農用地面積は約110㎢であります。南北に長い地理的特徴から、町以北では内陸型気候に適する畑作(小麦・豆類・馬鈴薯・甜菜・蔬菜)を主とし、以南では冷涼な海岸性気候を活かした酪農地帯となっております。更に近年は和牛を主とした肉牛生産にも力点を置いた農業も展開しております。
令和5年度における農畜産物総取扱高は143億1千3百万円となり、当組合として過去2番目の実績を確保することが出来ました。しかしながら特に昨年は、記録的な猛暑・酷暑の甚大な影響を受け、且つ歴史的な円安状況は経費の高止まりを助長し、生産現場の営農環境は類を見ない厳しさの中におかれております。世界規模での激しい社会経済の変革の中で、更なる本町の農業振興を果たすため、デジタル技術の有効活用を推進しながら、以下の施策を柱に経営・生産基盤の一層の強化を目指し着実な事業展開を実践してまいります。
耕種(畑作)部門では、基幹品目の安定生産を最優先事項とし、適正輪作の励行、圃場透排水性及び土壌物理性・化学性の改善により、地力の維持増進と農地基盤整備の充実に努め、品質・反収向上への取り組みを強化します。特に、優れた肥培管理技術を必須とする豆類・馬鈴薯の種子生産事業は半世紀を超える実績があり、今後も町内外問わずその信頼に応えるべく優良種子生産に励みます。また、品目ごとに的確な実需者ニーズへの呼応と、品種優位性を活かした作付けの維持拡大により販売力強化に繋げると共に、魅力ある加工品の商品化を図りながら地域ブランドの確立に努めます。他方、不足する労働力を補完するために、受託作業力強化と併せて人材派遣との連携、スマート農業拡充により労働環境の効率化を進めてまいります。
畜種(酪農・畜産)部門では、各経営体の持続性を担保するため経営基盤体質強化対策として、特に高品質生乳生産体制の構築、優良繁殖雌牛群の整備を柱とし、各種奨励策の実施と万全の家畜防疫・衛生対策を実施しながら良質乳確保と販売頭数の維持・拡大を図ります。酪農においては自給飼料生産性向上の観点からも、コントラクターの適期運行により良質粗飼料の確保に努めると共に、酪農ヘルパー要員充足により生乳の安定生産を支えます。肉牛生産振興では、高い育種価が期待できる多様な血統牛の導入による牛群改良を進め、「うらほろ和牛」のブランド化を推進します。畜舎・施設の整備更新、飼養管理向上等の生産基盤強化に向けては、関連部署が横断的にチームとしてコンサルティング機能を深化させます。また関係機関・団体の協力を仰ぎながら担い手育成及び女性向けの研修事業も充実させてまいります。
購買部門では、多様化する組合員ニーズを的確に汲み取り、需要に沿った提案実現に向け更なる知識向上・情報収集に注力します。特に過去に類を見ない資材全般の高騰状況を受け、コスト低減、省力化が急務であり、タイムリーな営農情報発信と相談体制の充実、系統利用優位性が所得確保に繋がるよう資材各種奨励策を実施します。農機車両整備においては、一層の技術錬磨を重ね組合員・顧客からの信頼獲得、利用促進に繋げます。またSS事業においても、サービスの行き届いた業務推進と、非常時における燃料供給拠点としての責務を果たします。
現在、私共農業生産現場は『食糧安全保障強化』という国家的命題の基、その持続性が強く求められておりますが、そこには「気候変動への対応」、「環境負荷低減」という大きな課題が共存しており、国内農業の一大転換期にあります。課題改善には各関係機関との連携は勿論のこと、今こそ消費者との相互理解の醸成が大きな要素になります。経済合理性だけでは果たすことが出来ないこの役割を担えるのがJAであり、その期待に真摯に応えていくことでJAの存在意義をより強固なものとして認識いただけるよう努めてまいります。
今後共JAうらほろは、恒久的な財務の健全化と組合員の営農・生活の資質向上を以って本町農業の振興にあたると共に、総合事業展開推進により、広く地域住民の社会インフラを支えながら、「豊かで魅力ある農村構築」の実現に向け役職員一丸で組合運営に邁進します。